前編では、制度としての搾取構造、劣悪な労働・住環境、そしてそれを放置している日本社会の無関心について述べました。
後編では、この問題が将来どんなかたちで“日本へのツケ”となって返ってくるのか──そして「誰がこの国を壊しているのか」を、より深く問います。
■ 将来、日本は訴えられる──“経済的徴用工”問題へ
戦時中の徴用工問題を思い出してみてください。 「自ら志願した」「賃金も払われていた」──そうした日本側の主張とは裏腹に、数十年後に大量の訴訟が起こり、国際的な非難を浴びました。
同じ構図が、技能実習生や外国人労働者にも起きる可能性は十分あります。
- 来日前に高額の借金
- 自由な職場移動はできず
- 低賃金・長時間労働
- パスポート管理・暴言・監視
これらは、国際労働機関(ILO)の定義する「強制労働」にかなり近いのです。
今、沈黙して働いている人々が、20年後30年後、「日本で奴隷のように働かされた」として集団訴訟を起こす──それは想像ではなく、現実に起こりうる未来です。
■ 裁けない司法──通訳不足がもたらす“無法空間”
外国人による犯罪が増えている一因として、「逃亡実習生」が闇経済に取り込まれている問題があります。 しかし彼らが逮捕されても、日本の司法は機能不全に陥っています。
なぜか。 通訳がいないからです。
特にベトナム語、ミャンマー語、ネパール語などは深刻な人材不足。 誤訳、意図不明の通訳、法的説明の欠如──その結果、「本人が理解していない」とされ、不起訴や軽微な処分で釈放されるケースが後を絶ちません。
それを見ている他の逃亡者たちはどう思うか。 「捕まってもすぐ出られる」と学習するのです。
■ 組織犯罪への取り込み──“たこ部屋”から“窃盗団”へ
技能実習制度の崩壊がもたらした最悪の副産物──それは、地下での犯罪組織化です。
- 空き家荒らし、農機具の窃盗
- 鉄くず、工具、灯油などの“無差別強奪”
- バイク・自転車・自動車部品の窃盗と転売
しかも、これらは役割分担されたグループ犯行であり、明確な指示系統が存在しています。
逃げ出した外国人が、そのまま“犯罪の部品”として使われているのです。
■ それでも制度を放置する政治──誰が壊しているのか?
あなたは思うかもしれません。「こんなこと、素人でもおかしいとわかるのに」と。
それでも制度を続けている理由──それは、以下のような“醜い現実”です。
- 経済界が「安くて従順な労働力」を求め続けている
- 政府は「移民ではない」と言い張り、選挙対策としてごまかす
- 過去の政策失敗を認めれば、自らの責任問題になるから
つまり、日本の中枢にいるのは「無責任な現実主義者」と「理想だけ語る支援者」であり、 実際の現場や人間の感情には目を向けない官僚と政治家ばかりなのです。
■ 最後に──未来で裁かれるのは誰か
数十年後、「あのとき声を上げていれば」と後悔しても遅い。 外国人労働者による国際訴訟が起きたとき、政府だけでなく、日本人全体が加害者扱いされるかもしれない。
しかも、その訴訟は単なる賠償請求では済まされない可能性がある。 国際社会は、日本という国そのものを「奴隷労働を合法化した国家」と断じるかもしれないのだ。
賃金・住環境・自由・人権を剥奪され、強制的に働かされた過去の技能実習生たちが、団体を作り、証言を集め、国際機関や外国メディアと連携する。 SNS時代の今、それはあっという間に拡散し、「日本は人身売買の共犯国だった」というレッテルを世界中に貼られるだろう。
そうなったとき、経済はどうなるか。 日本企業はグローバル市場から排除され、観光業は忌避され、日本人そのものが「搾取民族」として侮蔑される。 つまり、国家イメージの崩壊である。
そして世界が忘れてはくれないのは、私たちが知っていたのに止めなかったという「共犯性」だ。
見て見ぬふりをした国民。 選挙で黙認した有権者。 目の前の利益を優先した経営者。 制度の歪みを知りながら放置した政治家。
──この国を壊しているのは、本当に外国人でしょうか。
それとも、声を上げなかった私たち自身なのでしょうか。
関連リンク: 日本の治安が危機に瀕している理由と対策

コメント