
高齢者は「ちょっと太め」が健康のカギ?──脂肪と筋肉が命を守る
「高齢者は痩せているより、少し太っている方がいい」「ジャンクフードでもいいから食べて体重を増やせ」──こんな話を聞いたことはありませんか?私も最近耳にし、「本当にそれで大丈夫なの?」と疑問に思いました。
ところが、調べてみると意外にも納得できる理由がありました。高齢者にとって、適度な脂肪や筋肉は“命を守る力”になるのです。今回は外科医・比企直樹医師の言葉をもとに、栄養と体重の関係について分かりやすくまとめてみました。
高齢者が「ちょっと太め」でいるべき理由
「九死に一生を得る人は、栄養状態の良い人」
これは3,000件以上の胃の手術を経験した比企直樹医師の言葉です。医師2年目に救命救急センターで勤務していた彼は、栄養状態が生死を分ける場面を数多く目の当たりにしました。
当時、三次救急で運ばれてくる重症患者のうち、約9割が助からない状況だった中、奇跡的に生還する人には共通点がありました。それが「栄養状態の良さ」だったのです。つまり、痩せすぎよりも、ある程度の脂肪と筋肉がある人の方が、病気やケガに強いということです。
1. 体重がある人は回復が早い
高齢になると病気やケガの回復力が落ちます。でも、体に十分な脂肪や筋肉がある人は、食事が取れないときでも体内に蓄えたエネルギーを使って回復できます。
例えば、風邪で食欲が落ちたとき、脂肪が少ないとすぐにエネルギー切れになり、回復が遅れます。逆に少し脂肪がある人は、身体に余力があるため回復が早くなるのです。
2. 筋肉があると手術にも耐えられる
比企医師の病院では、胃がん手術の前に「2階まで自力で上がれるか」を一つの基準にしているそうです。これは、筋力が足りないと手術に耐えられない場合があるためです。
高齢になると筋肉が減少し、それに伴って免疫力も低下します。病気にかかりやすくなり、ケガをしても回復が遅れがちです。だからこそ、脂肪だけでなく、筋肉もしっかりつけることが重要なのです。
ジャンクフードでもいい?高齢者の食事の考え方
「体重を増やすためにジャンクフードでもいい」と聞くと、「本当に大丈夫?」と不安になるかもしれません。
結論から言えば、短期間ならOK。でも長期的にはバランスが大事です。ジャンクフードは高カロリーで脂肪を増やす効果がありますが、摂りすぎれば動脈硬化や心臓病のリスクが高まります。大切なのは、「いい部分」と「注意点」を知って上手に付き合うことです。
◎「良いカロリー」をしっかり摂ろう
おすすめの食品:
- ✅ 良質な脂肪:オリーブオイル、ナッツ、青魚(サバ・サンマ)
- ✅ タンパク質:肉、魚、卵、大豆製品(豆腐・納豆)
- ✅ 発酵食品:ヨーグルト、味噌、漬物(腸内環境を整える)
控えたい食品:
- ⚠ 揚げ物のとりすぎ:胃腸に負担をかけやすい
- ⚠ 加工食品:ソーセージやカップ麺など、塩分過多で腎臓に負担
つまり、「食べること」は大切。でも“何を食べるか”はもっと大切です。
健康的に体重を増やす2つの習慣
1. 毎日タンパク質を意識して摂る
筋肉を維持するには、毎日のタンパク質摂取がカギ。特に朝食に取り入れるのが効果的です。
例:卵焼き+納豆+味噌汁──これだけでしっかりタンパク質が摂れます。
2. 毎日ちょっとした運動をする
筋肉は「使わないと減る」ため、無理のない範囲で日々動かすことが大切です。
- ✅ 椅子から立ち上がるスクワット
- ✅ 片足立ち(左右10秒ずつ)
- ✅ 軽いウォーキング(5分でもOK)
「時間より継続」──1日5分でも、毎日続けることが健康への第一歩です。
まとめ:「ちょっと太め+筋肉あり」が理想の高齢者像
「ジャンクフードでもいいから食べろ」という意見には、一理あります。特に高齢者にとっては、痩せすぎより適度な脂肪があった方が健康リスクを減らせることが医学的にも示されています。
とはいえ、「ただ太ればいい」わけではありません。筋肉をつける・栄養バランスに配慮する・日常的に体を動かすことが健康長寿には欠かせません。
「最近痩せてきたかも…」と感じたら、まずは「しっかり食べる」「少しでも動く」ことから始めてみましょう。
「ちょっと太め+筋肉あり」=健康長寿!
今日からできる小さな習慣で、元気に長生きしましょう。
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