田舎から東京に引っ越してから、なんとなく気分が落ち込みがちで、何もやる気が出ない状態が続いていました。最近、これが「リロケーションダメージ」というものかもしれないと知りました。
以前介護の仕事をしていた経験があり、高齢者が住居を移すと何らかの不具合が出ることは知っていましたが、まさか自分がその影響を受けるとは思いませんでした。
リロケーションダメージとは、生活環境の変化がストレスとなり、心身の健康を害してしまう現象を指します。
特に高齢者や認知症の方に多く見られる症状ですが、年齢に関係なく、誰にでも起こりうる問題です。
今回、ある有識者からリロケーションダメージについて教わったので、その知識をシェアしたいと思います。
リロケーションダメージの基本
リロケーションダメージは、移り住みの害とも呼ばれます。
新しい環境に適応することが難しく、その結果として心身の健康を損なうことがあります。
特に、高齢者や認知症の方は、これまでの生活習慣や環境に強く依存しているため、新しい環境に適応するのが難しく、不安や混乱から認知症やうつ病の症状が悪化することがあります。
介護移住とリロケーションダメージ
日本では、多くの家族が高齢の親を自分の近くに呼び寄せる「介護移住」を行っています。
しかし、この移住がリロケーションダメージの原因になることがあります。
都市部では特別養護老人ホームなどの施設が不足しており、高齢者が遠方の施設に転居することが一般的です。
こうした環境の大きな変化が、リロケーションダメージを引き起こすリスクを高めています。
リロケーションダメージの具体的な症状
リロケーションダメージが引き起こす最も深刻な症状の一つは「せん妄」です。
せん妄は、病気や薬の影響、環境の変化などによって意識が混乱し、幻覚や興奮、時間や場所の感覚が失われる状態です。
高齢者が新しい施設や環境に移ると、これまでの生活習慣が崩れ、新しい環境に適応するのが難しくなるため、このような症状が現れることがあります。
せん妄とは注意や理解、記憶などの機能が急性に低下し、変動することを特徴とする状態を意味します。 認知症が慢性に変化するのとは対照的に、せん妄は急性に生じます。 認知症のある人にも生じますが、認知症と混同せず診断することが求められます。 せん妄では活動量が増加する場合もあれば、減少することもあります。
第28回 せん妄のこと – 北里大学
リロケーションダメージの予防・対策
リロケーションダメージを防ぐためには、急激な環境の変化を避けることが重要です。
新しい環境に移る際には、徐々に慣れるための期間を設けることが効果的です。
例えば、施設に入所する前に短期間のショートステイを経験する、子どもと同居する場合は週末だけから始めるなど、新しい環境に徐々に適応する時間を作ることが大切です。
また、自分が使い慣れている物や家具を新しい環境に持ち込むことで、安心感を得ることができます。
さらに、心理的に落ち着ける「自分の居場所」を作ることも重要です。
新しい環境での生活が始まった後も、家族や介護者が積極的に寄り添い、サポートすることで、リロケーションダメージを軽減することができます。
まとめ
今回、私自身がリロケーションダメージを経験し、その存在を知ることができました。
高齢者だけでなく、誰にでも起こりうるこの現象は、生活環境の変化がもたらすストレスによるものです。
特に、介護が必要な高齢者にとっては、その影響は深刻です。
リロケーションダメージを防ぐためには、新しい環境に慣れるための時間を設け、心理的なサポートを行うことが重要です。
私も、これからは自分の生活環境の変化に対して、より敏感に対処し、健康を守っていきたいと思います。
リロケーションダメージについての理解を深めることで、多くの方が安心して新しい生活を始められるよう願っています。
長い人生の中で、新しい環境に適応することは決して簡単ではありません。
しかし、適切なサポートと理解があれば、その影響を最小限に抑えることができるはずです。
リロケーションダメージに対する認識を広めることが必要かと思います。
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