家で家族を介護していると、「こんなにお金がかかるの?」と驚くことがあります。でも実は、国や市区町村には、介護の負担を減らすための助成金や給付金がたくさん用意されています。知っているか知らないかで、年間に数万円から数十万円の差が出ることもあります。ここでは、申請すれば使える代表的な制度を、わかりやすくご紹介します。
1──介護保険で使える助成
住宅改修費(上限20万円)
自宅を介護しやすく改修するとき、費用の一部を介護保険でまかなえます。たとえば、廊下や階段に手すりをつける、部屋の段差をなくす、滑りにくい床材に替える、ドアを引き戸にする、和式トイレを洋式にするなどです。工事の前に必ず申請し、見積書や改修前の写真を提出します。工事が終わってから申請しても対象外になるので注意しましょう。
福祉用具購入費(年間上限10万円)
ポータブルトイレや入浴用のイス、簡易リフトなど、一時的に購入が必要な用具は年間10万円まで助成されます。これも事前に申請してから購入し、領収書を提出します。同じ品目を何度も買うことはできません。ベッドや車いすなどは購入ではなくレンタルが基本です。
福祉用具貸与(レンタル)
介護ベッド、車いす、歩行器、スロープなどは、レンタルなら必要な期間だけ使え、状態が悪くなれば交換も可能です。介護度やケアプランに沿って、1割~3割の自己負担で利用できます。
訪問介護の生活援助加算
身体介護(入浴や食事介助)だけでなく、掃除・洗濯・買い物などの生活援助も、条件を満たせば介護保険で利用できます。ケアマネジャーと相談して、必要な内容を計画に入れてもらいましょう。
2──高額介護サービス費(払い戻し制度)
介護保険を使った自己負担額が、1か月で決まった上限を超えた場合、その超過分が戻ってきます。たとえば、自己負担が3万円でも、上限が1万5千円の人なら差額1万5千円が払い戻されます。
上限額は所得や世帯状況で異なります。
- 個人15,000円:住民税が非課税で、前年の所得と年金収入の合計が80万円以下の方
- 世帯24,600円:住民税非課税世帯(上記以外)
- 世帯44,400円:多くの一般的な世帯
初めて利用する場合は申請や口座登録が必要です。領収書やサービス明細は必ず保管しておきましょう。
3──自治体独自の助成制度
介護保険の対象外でも、市区町村が独自に支援している場合があります。
- 紙おむつや尿取りパッドの無料配布や購入クーポン
- 安否確認つきの配食サービスの料金助成
- 緊急通報装置や見守りセンサーの貸与
内容や条件は自治体によって違います。「高齢福祉課」や「長寿支援課」などの窓口で確認しましょう。
4──医療や税の負担を減らす制度
- 高額医療・高額介護合算制度:1年間の医療費と介護費を合計し、上限を超えた分を払い戻し。
- 医療費控除:通院交通費や一部の介護費も対象。確定申告で税金が戻ります。
- 障害者控除:要介護認定などで対象になる場合があり、所得税や住民税が軽減されます。
5──申請漏れを防ぐコツ
- 工事や購入は「申請→承認→実施」の順番を守る。
- ケアマネジャーと必要な支援内容を具体的に話し合う。
- 領収書・写真・明細はまとめて保管し、税の申告や合算制度に活用する。
まとめ:在宅介護では、知っていれば受けられるお金がたくさんあります。介護保険、自治体の独自助成、医療や税の軽減制度を組み合わせれば、負担を大きく減らせます。まずはケアマネジャーや市区町村の窓口で、自分の家庭が利用できる制度を確認してみましょう。
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