生活保護を受けている高齢者の中には、「地方には施設が少ないので都市部で暮らしたい」と考える方もいます。しかし、生活保護受給中に地域外の施設に入居するには、いくつかの条件や手続きが必要です。
この記事では、地方から都市部など住んでいる地域外の施設へ入居する際の条件、相談窓口、具体的な手順を詳しく解説します。
1. 地域外施設への入居は可能か?
生活保護制度上、地域外の施設への入居は可能です。ただし無条件ではなく、福祉事務所の同意と施設の受け入れが必要です。
認められやすいケース
- 現在の地域に空きがなく、介護体制が不十分
- 都市部に家族が住んでおり、支援を受けやすい
- 特定の医療機関や専門ケアが必要で、地方では対応できない
認められにくいケース
- 「都会で暮らしたい」という理由だけの場合
- 施設の費用が生活保護基準を超える場合
- 施設側が生活保護受給者の受け入れを拒否している場合
2. 地域外施設へ入居するための条件
以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 現在の居住地の福祉事務所(生活保護課)の同意 転居後の生活保護継続を認めるかどうかは、担当ケースワーカーの判断を含む行政決定です。
- 受け入れ先施設が生活保護対応であること 施設側が生活保護を受け入れているか事前に確認する必要があります。
- 転居理由の正当性 医療的・介護的理由、家族支援の必要性などがあると認められやすくなります。
3. 相談窓口はどこ?
地域外入居を検討する際の相談窓口は次の通りです。
- 居住地の福祉事務所(生活保護課):まずは担当ケースワーカーに相談し、許可を得ることが必須です。
- 地域包括支援センター:介護サービス全般の相談ができ、施設選びの助言も受けられます。
- ケアマネジャー:要介護認定を受けている場合、介護プラン作成と施設情報提供を行ってくれます。
- 老人ホーム紹介業者(民間):全国の施設情報を調べやすいですが、生活保護対応かは必ず確認が必要です。
4. 施設を全国的に探す方法
公的機関は地域外施設の紹介を積極的には行いません。全国的な施設情報を探すには以下の方法が有効です。
- 民間の老人ホーム検索サイト(例:みんなの介護、LIFULL介護)で「生活保護対応」を条件に検索
- 転居先自治体の高齢者福祉課に直接問い合わせ
- 広域での情報収集:家族や知人の協力を得て、候補施設に直接確認
5. 手続きの流れ(地方→都市部)
- 現在の福祉事務所に「都市部の施設を検討している」と相談
- 入所先施設を探し、生活保護対応か確認
- 施設から受け入れ承諾を得る(書面が望ましい)
- 地元福祉事務所が転居先自治体と調整
- 生活保護継続が認められれば、転居費用や入所準備費が支給される場合もある
- 入居手続きを行い、転居後は転入先福祉事務所が担当
6. 注意点
- 転居には時間と調整が必要で、すぐには決まりません。
- 都市部は待機者が多く、空きが出るまで待機期間が長くなることがあります。
- 施設が生活保護対応であっても、追加サービスや個室料金は自己負担になる場合があります。
7. まとめ
生活保護を受けながら地方から都市部の施設に入居することは可能ですが、行政との調整と施設選びが鍵です。まずは居住地の福祉事務所で相談し、複数の施設に問い合わせて候補を確保しましょう。
全国的に探すには民間の情報サービスも活用できますが、最終的には福祉事務所の同意が必要です。早めの準備と情報収集が、安心できる暮らしにつながります。
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