高齢者を狙う特殊詐欺の最新手口2025──警察庁発表データ

ATMで操作をする高齢者の手のクローズアップ画像。還付金詐欺や特殊詐欺の注意喚起イメージ。 高齢者の健康と暮らし

2025年も高齢者 特殊詐欺 最新手口による被害は後を絶ちません。特にオレオレ詐欺 手口 2025やキャッシュカード詐取、架空請求など、詐欺グループの手口は年々巧妙化し、対策を講じても新たな手法が次々と生まれています。警察庁の統計によれば、被害額は依然として高止まりし、高齢者が被害者の大半を占める深刻な状況です。

特殊詐欺の年間被害額と傾向(警察庁統計)

警察庁が公表した2024年の統計では、特殊詐欺の全国被害額は約350億円。そのうち65歳以上の高齢者が占める割合はおよそ70%に達しました。2025年1〜6月の速報値でも前年同期比で増加しており、特にキャッシュカード詐取型の被害が急増しています。都市部のみならず、これまで被害が少なかった地方都市や農村部にも拡大しているのが特徴です。

件数で見ても年間1万件を超える通報がありますが、実際には「被害を恥じて通報しないケース」や、詐欺と気づかないまま金銭を渡してしまう事例も多く、警察は「統計は氷山の一角にすぎない」と警鐘を鳴らしています。

最新の手口(2025年現在)

2025年は、従来型の手口が「役割分担・番号偽装・緊急性の演出」で一段と巧妙化しています。警察庁の最新公表や注意喚起で目立つ主な傾向は次のとおりです。

  • ニセ警察・ニセ銀行(キャッシュカード詐取/預貯金詐欺)
    「口座が犯罪に使われている」「安全な口座に移す」などと告げ、警察官や銀行員になりすましてキャッシュカードを預かる・暗証番号を聞き出す・現金や金地金を引き出させる手口。実在の警察署番号や公的機関名をかたり、複数人が役割分担する“劇場型”が増えています。
  • 還付金詐欺(ATM誘導)
    「医療費・保険料の払い戻し」「年金・税の手続き」を装い、ATMへ行かせて携帯電話で操作させる典型的な方式。自治体や日本年金機構名を名乗る不審連絡への注意喚起が続いています。
  • 架空料金請求(SMS/メール)
    「未納料金があります」「利用停止になります」などのSMSやメールで偽サイトに誘導し、個人情報や決済情報を入力させる。支払期限を短く見せ、焦らせて判断力を奪うのが特徴です。
  • 発信者番号の偽装・国際番号の悪用
    公的機関や金融機関の番号に“見える”形で電話をかける、または国際番号からの発信で不安を煽るなど、着信表示を悪用した呼び出しが確認されています。
  • 定額減税・制度改正・行政手続を口実にした勧誘
    「定額減税の手続き」「後期高齢者医療制度の改正」「戸籍の振り仮名制度」など、時事の行政キーワードを口実に個人情報や口座情報を詐取する注意喚起が相次いでいます。
  • 貴金属・金塊を狙う“劇場型”の派生
    現金だけでなく、金地金や貴金属の購入・受け渡しを指示する事例も報告されています。玄関先や宅配での受け渡しを指定するなど、痕跡を残しにくい方法が使われます。

高齢者が狙われる理由

高齢者は預貯金額が比較的多く、電話や郵便といった旧来の連絡手段に慣れているため、詐欺グループから「成功率の高いターゲット」と見なされます。特に一人暮らしや高齢夫婦世帯では相談相手が限られ、相手の話をそのまま信じてしまいやすい傾向があります。また、加齢に伴い判断力や注意力が低下することで、詐欺師の心理的誘導に乗せられやすくなります。

自宅でできる防止策(電話・郵便・訪問)

  • 電話は常時留守番設定にし、知らない番号には出ない。
  • 不審な郵便物や宅配は開封せず差出人を確認する。
  • 訪問者は必ず身分証を確認し、不審ならドアを開けない。
  • 防犯機能付き電話機や通話録音機能の利用を検討する。

これらの対策は、詐欺グループに「この家は警戒心が強い」と思わせ、狙われにくくする心理的効果もあります。また、自治体や警察が発信する防犯情報メールやチラシを活用し、常に最新の手口を把握しておくことが重要です。

家族ができる予防コミュニケーション

日常的な連絡は詐欺防止の第一歩です。週に1度は必ず電話やLINEでやり取りし、「お金の話が出たら必ず家族に確認」という合言葉を共有することが効果的です。離れて暮らす場合でも、買い物や通院の付き添いなどで直接顔を合わせる機会を作ると安心感が高まります。

さらに、近隣の見守りネットワークや自治会の防犯活動に参加してもらうのも有効です。顔見知りが多い地域では、不審者の出入りや怪しい電話の情報が回りやすく、被害の未然防止につながります。

※本記事は警察庁発表データをもとに作成しています。被害防止のための最新情報は、必ずお住まいの自治体や警察署の公式発表をご確認ください。

コメント