2024年6月21日、岸田首相は電気・ガス代補助を再開することを発表しました。
この支援策は「酷暑乗り切り緊急支援」として、8月から10月までの3ヶ月間限定で実施されます。
また、年金生活者や低所得者向けの追加給付金も検討中であり、収入アップが難しい年金生活者には有益な支援策となるでしょう。
しかし、これだけで高齢者の生活が安定するわけではありません。現実はもっと厳しいものです。
金融広報中央委員会の調査によると、60歳代と70歳代の貯蓄額には大きな差が見られます。
まず、60歳代の平均貯蓄額と中央値を見ると、二人以上世帯・単身世帯ともに1000万円未満です。
特に単身世帯の60歳代の中央値は210万円であり、老後の生活には不安が残ります。
貯蓄額ごとの世帯割合を見ると、60歳代の二人以上世帯では、金融資産を持っていない世帯が21.0%にも上ります。
70歳代でも19.2%が金融資産を持っていません。
単身世帯ではその割合がさらに高く、60歳代では33.3%、70歳代では26.7%が金融資産を持たない状況です。
これらのデータからわかるのは、貯蓄がある人とない人の間に大きな差があるということです。
貯蓄がある人は比較的余裕を持って老後を過ごせますが、貯蓄がない人は毎日の生活に苦労しています。
総務省の「家計調査報告」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯および単身無職世帯の家計収支は赤字となっています。
夫婦世帯では約4万円、単身世帯では約3万円の赤字です。
65歳から20年間の老後生活で、夫婦世帯で960万円、単身世帯で720万円の赤字が予想されます。
さらに、インフレや医療費、介護費用を考慮すると、これ以上の貯蓄が必要です。
厚生労働省のデータによれば、年金だけで生活できる高齢者世帯は41.7%であり、半数以上の高齢者が年金だけで生活できていない現実があります。
現行の給付水準より年金額が減ると予想されているため、これから先、年金収入だけで生活できる高齢者世帯はさらに減少するでしょう。
高齢者が安心して暮らせる社会を実現するためには、現役世代からの貯蓄や投資、経済的な計画が不可欠です。
60歳代の貯蓄状況
- 平均貯蓄額と中央値: 二人以上世帯・単身世帯ともに1000万円未満で、単身世帯の中央値は210万円です。
- 貯蓄額ごとの割合:
- 金融資産非保有: 21.0%
- 100万円未満: 5.9%
- 100~200万円未満: 4.5%
- 200~300万円未満: 4.3%
- 300~400万円未満: 3.0%
- 400~500万円未満: 1.9%
- 500~700万円未満: 7.2%
- 700~1000万円未満: 6.7%
- 1000~1500万円未満: 6.8%
- 1500~2000万円未満: 5.4%
- 2000~3000万円未満: 9.5%
- 3000万円以上: 20.5%
70歳代の貯蓄状況
- 貯蓄額ごとの割合:
- 金融資産非保有: 19.2%
- 100万円未満: 5.6%
- 100~200万円未満: 5.1%
- 200~300万円未満: 4.3%
- 300~400万円未満: 4.7%
- 400~500万円未満: 2.5%
- 500~700万円未満: 6.2%
- 700~1000万円未満: 5.8%
- 1000~1500万円未満: 10.2%
- 1500~2000万円未満: 6.6%
- 2000~3000万円未満: 7.4%
- 3000万円以上: 19.7%
単身世帯の貯蓄状況
60歳代
- 金融資産非保有: 33.3%
- 100万円未満: 8.5%
- 100~200万円未満: 4.7%
- 200~300万円未満: 2.8%
- 300~400万円未満: 4.3%
- 400~500万円未満: 2.4%
- 500~700万円未満: 3.5%
- 700~1000万円未満: 2.8%
- 1000~1500万円未満: 6.6%
- 1500~2000万円未満: 4.5%
- 2000~3000万円未満: 8.0%
- 3000万円以上: 15.1%
70歳代
- 金融資産非保有: 26.7%
- 100万円未満: 5.8%
- 100~200万円未満: 4.3%
- 200~300万円未満: 4.1%
- 300~400万円未満: 3.3%
- 400~500万円未満: 2.5%
- 500~700万円未満: 6.6%
- 700~1000万円未満: 5.1%
- 1000~1500万円未満: 8.6%
- 1500~2000万円未満: 5.3%
- 2000~3000万円未満: 8.2%
- 3000万円以上: 17.3%
老後の家計収支
総務省の「家計調査報告」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯および単身無職世帯の家計収支は以下の通りです。
- 夫婦世帯: 約4万円の赤字
- 単身世帯: 約3万円の赤字
65歳から20年間の老後生活で必要な資金は、夫婦世帯で960万円、単身世帯で720万円となります。しかし、インフレや医療費、介護費用を考慮すると、これ以上の貯蓄が必要です。
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