高齢者向け住宅改修補助金──使える条件と申請方法

高齢者向け住宅改修で手すりを設置した洋式トイレ 高齢者のお金と制度

年齢とともに足腰が弱くなり、家の中での移動が不安になる──
そんな時に頼りになるのが「高齢者住宅改修補助金」です。特に介護保険を活用した住宅改修制度は、段差解消や手すりの設置など、日常生活の安全を守る工事に対して費用の一部を補助してくれます。

この記事では、使える条件、対象となる工事、補助金額、申請方法、実際の事例まで、わかりやすく解説します。

高齢者住宅改修補助金の仕組み(介護保険含む)

高齢者住宅改修補助金には、大きく分けて2つのパターンがあります。

  1. 介護保険を使った住宅改修
    要介護または要支援認定を受けている方が対象。
    自宅のバリアフリー工事費の一部を補助(上限20万円)。
  2. 自治体独自の住宅改修補助制度
    介護保険の対象外でも利用できる場合あり。
    所得条件や年齢要件が設定されていることが多い。

介護保険制度では「在宅生活の継続」を目的としており、段差解消 補助金高齢者 バリアフリー 工事の費用を軽減できます。
自治体の制度は、介護認定がなくても申請できるケースもあり、工事内容や上限額が異なります。

対象となる工事(手すり設置、段差解消など)

介護保険住宅改修で認められている工事は、厚生労働省が定めた6種類です。

  1. 手すりの取り付け(廊下、階段、トイレ、浴室など)
  2. 段差の解消(スロープ設置や敷居撤去など)
  3. 滑り防止や移動の円滑化のための床材変更(フローリングや滑りにくい床材への変更)
  4. 引き戸等への扉の取り替え(開き戸を引き戸やアコーディオンカーテンに交換)
  5. 洋式便器への便器取替え(和式から洋式へ変更)
  6. その他、上記に付帯する工事

自治体の制度では、これに加えて外階段の改修や屋外スロープの設置、照明の増設などが対象になる場合もあります。

補助金額と自己負担割合

介護保険を利用した住宅改修は上限20万円までが対象で、その自己負担は原則1割(所得に応じて2~3割)です。

  • 例:工事費20万円の場合
    自己負担1割 → 2万円負担で18万円補助
    自己負担2割 → 4万円負担で16万円補助

自治体独自の制度では、上限額が30万円や50万円の場合もありますが、所得制限があることが多く、事前に条件を確認する必要があります。

申請の流れ(事前申請・工事後手続き)

介護保険住宅改修は事前申請が必須です。流れは次のとおりです。

  1. ケアマネジャーに相談
    必要な工事と理由をケアプランに反映。
  2. 見積書と工事図面を準備
    施工業者が作成。
  3. 市区町村に申請書提出
    工事前に承認を受ける必要あり。
  4. 工事実施
  5. 完了報告・領収書提出
  6. 補助金の受け取り
    事後払い(償還払い)方式が一般的。

自治体独自の補助金も、基本は同様に事前申請→承認→工事→精算の流れです。

実際に利用した事例

事例1:浴室への手すり設置と段差解消

70代女性、要支援1。浴室入口に約10cmの段差があり、転倒の危険を感じていた。
→ スロープ設置+浴室内の手すり取り付けで工事費18万円。介護保険利用で自己負担1.8万円。

事例2:トイレの和式から洋式への変更

80代男性、要介護2。腰痛で和式便器の使用が困難に。
→ 洋式便器への変更+手すり設置で工事費22万円。介護保険上限20万円適用、自己負担2割で4万円負担。

まとめ

  • 介護保険住宅改修は、要介護・要支援認定が必要で上限20万円まで補助。
  • 対象工事は手すり、段差解消、床材変更、扉交換、洋式便器化など。
  • 自治体独自の制度もあり、介護認定がなくても利用できる場合がある。
  • 事前申請が必要で、ケアマネジャーや市区町村窓口に早めの相談が安心。

安全な暮らしを守るため、制度をうまく活用して、住み慣れた我が家で長く暮らしましょう。

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