日本の医療制度は、高齢者医療費の財源の中で 現役世代の拠出(支援金)が大きな割合を占める構造にあります。 とくに75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度では、 医療費(窓口負担を除く)の約4割を現役世代の支援金が賄い、 残りは公費(国・都道府県・市町村)と高齢者自身の保険料で構成されています。
高齢者人口が急速に増加しており(団塊世代が75歳以上に到達)、この負担は年々増加傾向にあります。 現役世代の給与から天引きされる社会保険料は上昇基調で、可処分所得が目減りするため、 家計の余裕を奪い、結婚・子育てへの意欲を下げる方向に働くことは否めません。 こうした負担感の増大は、日本全体の少子化問題を悪化させる一因となっています。
自己負担割合と医療資源の使い方
現在の自己負担は、70~74歳は原則2割(一定所得以上は3割)、 75歳以上は原則1割ですが、2022年10月から一定所得のある方は2割、 さらに現役並み所得の方は3割となっています。
自己負担が低い層では、必要のない受診や薬の過剰処方(ポリファーマシー)が 起きやすいとの指摘があります。特に高齢者では多剤併用が副作用や転倒リスクを高め、 医療費の膨張にもつながる可能性があります。
ポイント(読みやすく要約)
- 高齢者医療の財源に占める「現役世代の支援金」は大きい(後期高齢者で約4割)。
- 70–74歳は原則2割、75歳以上は原則1割だが、一定所得で2割/現役並みで3割。
- 多剤併用などの「過剰」が医療費膨張や健康被害を招く懸念。
改革が進みにくい理由
日本政府も問題を認識しているものの、抜本改革には強い抵抗が伴います。 高齢者層や医療業界からの反発が予想されるうえ、制度は多層的で利害関係者も多く、 合意形成に時間がかかるためです。 しかし、現状維持のままでは制度の持続可能性にリスクが高まります。
具体的な解決策(提案と論点)
いただいた提案どおり、医療窓口負担を現役世代と同じ3割に引き上げる案は、 不要受診の抑制や医療資源の効率化に資する可能性があります。 財政的な効果が見込めれば、浮いた原資を子育て支援・教育・若者支援へ再配分することで、 少子化対策にもつながるでしょう。
一方で、一律の自己負担引上げには「受診抑制」や健康格差拡大の副作用が懸念されます。 そのため、次のような段階的・多面的な組み合わせが現実的です。
- 所得・資産に応じた負担の精緻化
- 高額療養費制度の適正化
- ポリファーマシー対策(薬剤レビュー、減薬の仕組み)
- 薬価や医療材料の適正化、ジェネリックの安心利用促進
「高齢者=弱者」一色で捉えない視点
高齢者全体を一律に「社会的弱者」とみなすべきではありません。 資産・所得の分布には大きなばらつきがあり、自己負担が増えても生活に影響が小さい層もあります。 その一方で、低所得で医療アクセスが脆弱な層も確かに存在します。 よって、保護すべき層を確実に守りつつ、負担能力に応じた公平な分担へ移していくことが重要です。
結び──次世代に誇れる制度へ
日本の医療制度がより効率的で公平なものとなり、現役世代・将来世代が安心して生活できるようにするには、 抜本的な制度改革が必要です。高齢者と現役世代のバランスの取れた負担を実現できれば、 制度の持続可能性は高まり、社会全体の健康と福祉の向上につながります。
解決は一朝一夕ではありませんが、現役世代が声を上げ続けることで政策は動きます。 私たち一人ひとりが関心を持ち、建設的な議論と行動を重ねることが、 未来の日本に欠かせないステップです。
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