🛑 「免許返納すべき」って本当？田舎暮らしの高齢者が直面する“リアルな悩み”
テレビや新聞でよく見かける「高齢者ドライバーによる事故」のニュース。
「高齢者は免許を返納すべきだ」といった意見も強まってきました。たしかに、ブレーキとアクセルの踏み間違いや高速道路の逆走といった事故は、命に関わる深刻なものです。
しかし一方で、地方や田舎に暮らす高齢者にとって、車は“命綱”のような存在であることも見落としてはいけません。
私自身、地方に暮らしており、車がないとかなり不便な場所に住んでいます。
スーパーまで歩いていけなくもないのですが、距離があり、荷物を持って帰ってくるとなると大変。
それでも私の住んでいる地域はまだましで、もっと山間部やバスすら来ない集落に住む高齢者の中には、**「免許を返したら一歩も外に出られなくなる」**という人もいます。
🧓 自主返納とは？良いことばかりじゃない
運転免許を自分の意思で手放す「自主返納」は、75歳以上の高齢者を中心に増えています。
特典として、自治体によってはバス・タクシー料金の割引や買い物代行の支援制度などがあります。
「事故を未然に防げる」「家族に心配をかけないで済む」などの理由から、前向きに捉える人もいます。
しかし、実際に返納した後に生活がどう変わったのかを見ると、決して“返して良かった”だけでは済まない現実も見えてきます。
🧭 免許返納後の「生活困難」の実態
特に地方では、車が生活インフラの一部になっています。
● 病院まで片道30分
● バスは1日2本だけ
● 移動販売車は週に1回しか来ない
こうした地域に住んでいる高齢者は、車を手放した瞬間から**「買い物難民」「通院難民」**になってしまうことすらあります。
実際の声をご紹介します：
「スーパーまで歩けなくもないけど、行って帰るだけでヘトヘト。買った荷物を持って坂道を上るのがつらい」（80代・女性）
「妻が病気で通院が必要だけど、バスは通っていない。免許を返すという選択肢はない」（70代・男性）
「免許を返してから、あまり外出しなくなった。誰にも会わなくなって、気分も落ち込むようになった」（75歳・男性）
これが現実です。都会の人たちが思っているほど、田舎での生活は“公共交通”に頼れるものではないのです。
🚗 車は「ぜいたく」じゃない。田舎の高齢者には「必需品」
都市部で暮らしていれば、電車、バス、タクシー、デリバリーサービス、何でも揃っています。
「車なんてなくても生活できる」というのが前提になっている人にとっては、「高齢者は危ないから免許を返すべき」という話も自然に聞こえるかもしれません。
でも、田舎に住む高齢者にとって、車は贅沢品ではなく**“生活を支える必需品”**です。
車がなければ、通院も買い物も、冠婚葬祭への参加も、何もできません。
だからこそ、「事故を起こす前に返納しろ」という声は、時に“都市の論理”の押しつけに聞こえてしまうのです。
👀 単に“返せ”ではなく、“選べる”社会に
もちろん、高齢になれば反射神経や視力、判断力が少しずつ衰えていくのは事実です。
しかし、それぞれの体調や生活環境は人によって違います。
75歳を過ぎたから自動的に危険とは言いきれません。
運転を続けるなら、
- 定期的な運転技能チェック
- 家族や医師との相談
- 高齢者講習の結果を踏まえた自己判断
が大切です。そして、やめるかどうかは、個人が“選べる”環境であることが最も重要なのです。
🚌 免許を返すために必要な「支援」とは？
本当に免許返納を促進したいのであれば、以下のような支援体制を整えることが不可欠です。
- コミュニティバスやデマンド交通（予約型乗り合いタクシー）の普及
- スーパーマーケットや病院による送迎サービス
- 地域ボランティアによる買い物代行や送迎
- ITが苦手な人でも使える簡単な交通予約システム
- 「乗れなくなった後」の生活設計についての地域での相談支援
「車がなくても安心して暮らせる環境」を先に整えない限り、返納は“選択”ではなく“強制”になってしまいます。
📝 まとめ：免許返納は“本人の生活と尊厳”にかかわる問題
運転免許返納は、交通事故を防ぐために大切な取り組みではあります。
しかしそれと同時に、それがどれだけ生活の自由や尊厳に影響を与えるかも真剣に考える必要があります。
「事故が怖いから返納すべき」という短絡的な議論ではなく、
**「どうすれば安心して手放せるか」**を一緒に考えることが、社会全体の課題なのです。
田舎に暮らす高齢者が、自分の足で動き、笑顔で暮らせるように。
私たち一人ひとりがその現実を理解し、寄り添い、そして備えていくことが求められているのではないでしょうか。
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