最近、テレビや新聞などで「B型肝炎給付金」の案内を目にする機会が増えています。症状のない人でも対象になるといわれていますが、具体的にはどんな制度で、どのような人が申請できるのでしょうか?この記事では、その内容をわかりやすくまとめてご紹介します。
制度の背景と目的
この制度は、過去の集団予防接種などで、注射器の使い回しによってB型肝炎ウイルスに感染した人を救済するために設けられました。当時の医療現場では、注射器が消毒なしに再使用されることがあり、それが原因でウイルスが広がったとされています。
こうした過去の医療行為によって感染した方々に対し、国が一定の補償を行うという仕組みが、このB型肝炎給付金制度です。あくまで感染原因が予防接種にある場合に限定されますが、申請者が感染経路を明確に証明する必要はなく、一定の条件に合致すれば支給対象となります。
無症状でも対象になるのはなぜか
B型肝炎ウイルスに感染しても、すぐに症状が出るとは限りません。特に幼少期に感染した場合、何の症状もなく何十年も経過しているケースが少なくありません。こうした状態は「無症候性キャリア」と呼ばれます。
無症候性キャリアとは、ウイルスを体内に保有しているものの、肝機能に大きな異常が見られず、自覚症状がない状態を指します。しかし、体内にはウイルスが存在しているため、将来的に慢性肝炎や肝硬変、さらには肝がんに進行するリスクも否定できません。
このため、症状の有無に関係なく、一定の検査結果(HBs抗原が6か月以上陽性)を満たしていれば、給付金の対象となるのです。
感染しているかどうかの確認方法
一般的な健康診断では、B型肝炎の検査項目は含まれていないことが多く、過去に何度も血液検査を受けていても感染の有無が分からないままになっている場合があります。
感染の有無を確認するには、医療機関で「HBs抗原検査」を受ける必要があります。この検査は保険適用で、費用は1,000円〜3,000円程度とされ、簡単な採血で完了します。結果は数日以内に判明します。
検査の結果、HBs抗原が陽性であり、6か月以上継続して陽性であれば「持続感染者」と判断され、給付金の申請対象となります。
給付金の金額と条件
給付金の支給額は、感染の状況や経過年数、現在の健康状態などによって異なります。たとえば、無症候性キャリアであっても感染から20年未満であれば600万円、20年を超えている場合は50万円の支給が見込まれます。
さらに、慢性肝炎、肝硬変、肝がんといった重篤な病状がある場合は、それに応じて1,250万円〜3,600万円までの支給も可能です。
弁護士への相談と費用について
給付金の申請には、国との和解手続きや書類提出などの手続きが必要なため、専門知識のある弁護士に依頼するのが一般的です。多くの弁護士事務所では、相談料・着手金無料、完全成功報酬型となっており、給付金が支給された場合にのみ費用が発生します。
成功報酬の相場は、給付金の15〜17%程度です。たとえば600万円の給付があった場合、弁護士費用として90万円前後が差し引かれる仕組みです。給付されなければ、費用は一切かからないという点で、安心して相談できます。
申請の期限に注意
この制度には時効があり、訴訟提起の期限は2027年3月31日と定められています。それ以降は申請が受理されない可能性があるため、対象となる方は早めに検査と相談を始めることが重要です。
まとめ
B型肝炎給付金制度は、かつての医療行為の被害を受けた方を救済するための制度です。自覚症状がなくても、感染していれば支給対象となる可能性があります。検査は簡単かつ低コストで受けられ、弁護士費用も完全成功報酬制でリスクは少ない制度です。
思い当たる方は、まずは医療機関での検査を受けるところから始めてみてください。
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