2025年7月9日──。日本にとって、この日が経済的な大きな分岐点になるかもしれません。
トランプ大統領率いるアメリカ政府が、日本製の自動車部品、半導体、農産品などに対して追加関税を課す方針を表明し、いよいよその発動日が目前に迫ってきました。
すでに株式市場や為替相場は神経質な動きを見せており、輸出に依存している日本企業──特に地方の中小製造業者にとっては、決して他人事ではありません。
■ “またか”では済まされない現実
日本の対米貿易は、長年にわたって日本経済を支えてきました。しかし今回の関税問題は、単なる経済戦争ではありません。大統領選を控えた米国の国内政治が大きく影響しており、「日本叩き」は選挙向けのパフォーマンスの側面もあります。
とはいえ、影響を受けるのは実際にモノを作り、送り出している人たち。特に自動車部品メーカーや高性能素材を扱う企業は、アメリカ市場の動向に大きく左右されます。
「また関税か」と嘆く前に、いま私たちが備えるべきことは何か──。
そこに焦点を当てる必要があります。
■ 石破政権の“外交音痴”が招いた不信
この関税問題に対し、石破政権の対応は「場当たり的」との批判を強く受けています。
とりわけ注目されているのが、赤沢亮正経済再生担当相の対応です。彼はこの数か月でアメリカに7回も渡米していますが、いずれも事前調整のない“アポなし”訪問だったと報道されています。
しかも、現地での成果らしき成果もなく、交渉材料となる「お土産」も用意せずに出向いたことで、アメリカ側からも「非礼」と受け取られた可能性があると言われています。
日本企業を守るどころか、かえって関係をこじらせたのではないか──そんな疑念が現場に広がっています。
地方の中小企業や製造業者の声は、こうした“空回り”外交では届きません。経済担当相としての責任と役割を、今こそ問い直すべきではないでしょうか。

■ 現場の声──地方の“細い糸”が切れるとき
地方都市では、米国向け輸出が主力の企業が多く存在します。その多くは東京の大企業から部品や素材の発注を受ける「下請け」。
今回の関税が発動されれば、米国向けの最終製品が値上がりし、需要が落ち込むのは避けられません。その余波は、全国に波のように広がっていきます。
「ウチの製品なんて全体の1%くらいしか使われていない。でも、その1%がなくなったら、仕事は一気に半分以下になる」──そんな現場の声も聞かれます。
これは単に“経済の話”ではなく、働く人々の暮らしと直結した話なのです。
■ 心の予防線を張るということ
このような状況下で、企業も個人も「心の予防線」を張ることが求められています。
企業でいえば、リスク分散の見直しが第一。特定の国や大口取引先に頼りすぎていないか、地域や販路を広げる余地はないか。たとえ小さな試みでも、分散の種をまいておくことが大事です。
そして個人レベルでも、「変化を想定しておく」心の準備が必要です。
高齢の方でも、息子や娘が経営者、あるいは輸出企業に勤めていれば、無関係とは言えません。「突然の減収で家庭が厳しくなった」「転職せざるを得なかった」──そんな話が身近に起こる可能性もあります。
大事なのは、「心構え」があるかどうかです。
■ では、どう生きるか──“依存しすぎない”視点
いまの日本社会は、世界とのつながりが深くなる一方で、「外に頼りすぎている」側面もあります。
米国だけでなく、中国・EUの経済不安も広がる中で、「何があっても生活を続けていける柔軟性」こそが、一人ひとりに問われています。
農家であれば、輸出よりも地域の需要を見直す。中小企業であれば、B to B(企業間取引)に加えて、C(一般消費者)向けの商品化を検討する。
そして家庭では、「買い控え」「小さな贅沢」「地元消費」など、家計の中でできる工夫をしてみる。そうした小さな“自律”の積み重ねが、不安定な世界経済の中でも自分を支えてくれます。
■ それでも、暮らしは続いていく
関税が上がっても、円相場が動いても、日々の暮らしは止まりません。朝は来て、夜はやってきます。
大切なのは、情報にふりまわされることなく、でも現実から目を背けることなく、自分の足元を見つめておくこと。
「今、自分にできることは何か」──そう考える視点を持ち続けていれば、きっとどんな嵐の中でも、道はつながっているはずです。
コメント