エンディングノートは書くべき?遺言との違いや高齢者向けの活用法

エンディングノート 高齢者の健康と暮らし

「エンディングノートって書いたほうがいいの?」──そんな問いを耳にする機会が増えました。

テレビや雑誌などでも特集されることの多いエンディングノートですが、「書いても法的効力がない」「意味があるのかわからない」といった声もあります。

今回は、高齢者の方に向けて、エンディングノートを書く目的やメリット、遺言との違いなどをやさしく解説していきます。

■ エンディングノートとは何か?

エンディングノートとは、自分が亡くなったあとや、病気・認知症などで意思を伝えられなくなったときのために、自分の希望や情報を書き残しておくノートのことです。

一般的には市販の専用ノートが多く出回っており、次のような内容を記入します:

  • ・自分の基本情報(住所、連絡先、生年月日など)
  • ・家族・親族の連絡先
  • ・持っている銀行口座や保険の情報
  • ・介護や延命治療についての希望
  • ・葬儀の方法や希望
  • ・大切にしている物や言葉

つまり、家族や知人に「自分の人生のあと始末をどうしてほしいか」を伝えるための、意思の記録帳です。

■ 遺言書との違いは?

「遺言書と何が違うの?」と疑問に思う方も多いでしょう。

簡単に言えば、遺言書は法的効力がある文書、エンディングノートは気持ちを伝える私的なメモです。

たとえば、財産の分け方について書いたとしても、エンディングノートでは法的な効力はありません。そのため、相続に関しては別途、公正証書遺言などの正式な遺言書を作成する必要があります。

しかし、葬儀の希望や思い出の整理、知人へのメッセージなどはエンディングノートが大変有効です。

■ エンディングノートを書くメリット

「書いても意味がない」と思われがちですが、実際には多くのメリットがあります。

① 家族の負担を減らせる

人が亡くなると、役所の手続きや保険の解約、遺品整理など、さまざまな作業が待っています。

事前に情報が整理されていれば、家族は手続きをスムーズに進めることができます。

② 自分の意思を伝えられる

延命治療の希望や介護方針など、もしものときに言葉を発せなくなってしまった場合でも、ノートに書いてあれば周囲に伝えることができます。

③ 自分の人生を振り返る時間になる

エンディングノートを書く過程で、自分の人生を整理するきっかけにもなります。

感謝の気持ちを書き残したり、伝えたかった思いを言葉にすることで、心の整理にもつながるのです。

■ いつ書けばいいの?

「まだ元気だから、そんなのは早いよ」と思う方もいるかもしれません。

しかし、エンディングノートは元気なうちに書いておくからこそ意味があります。

体調を崩してからでは書けないこともありますし、気力や判断力があるうちの方が内容もしっかり伝えられます。

■ 書き方のポイント

エンディングノートに決まった書き方はありませんが、次のポイントを押さえると書きやすくなります。

  • ・市販のノートや自治体の配布資料を使うと便利
  • ・すべてを一気に書こうとせず、気になったところから始める
  • ・定期的に見直しをする(年1回程度)
  • ・保管場所を家族に伝えておく

また、書くことが負担にならないよう、日記のように少しずつ進めるのもおすすめです。

■ 書いたあとの“伝え方”も大事

せっかくエンディングノートを書いても、誰もその存在を知らなければ役に立ちません。

「このノートを引き出しに入れているよ」「困ったときはこの人に連絡してほしい」など、家族や信頼できる人に伝えておきましょう。

■ 準備は“今”から始めよう

エンディングノートは、今すぐにでも始められる「自分らしい人生の締めくくり方」です。

難しく考えず、自分の気持ちを書いてみることから始めてみてください。

残された人たちの助けになるだけでなく、何より自分の安心にもつながります。

老いを前向きに捉えるツールとして、ぜひ活用してみてください。

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