推し活って新しいの?──昭和世代がすでにやっていた“応援の形”

推し活って新しいの?──昭和世代がすでにやっていた“応援の形” 高齢者の健康と暮らし

「推し活」という言葉を聞くと、「若者の流行」「オタク文化」といったイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし、実は私たち昭和世代も、すでにずっと昔から“推し活”をしてきたのです。名前が変わり、手段が進化しただけで、その本質は何も変わっていません。

昭和にもあった“推し活”──ファン活動の記憶

あなたは若いころ、誰かのレコードを何度も繰り返し聴いたり、テレビの歌番組を正座して観ていたことはありませんか?
明星や平凡といった雑誌の切り抜きをノートに貼り、ファンクラブに入って会報を楽しみにしていた──そんな時代を思い出す方も多いでしょう。

アイドル、俳優、プロ野球選手──ジャンルは違えど、何かに夢中になり、応援し、語り合ってきた。まさにそれが「推し活」だったのです。

では、今の“推し活”とどう違うのか?

違うのは、ツールです。昭和ではテレビやラジオ、雑誌、コンサートが中心でしたが、今はスマホ一つでいつでも“推し”に触れられる時代です。

  • ファンクラブ → SNSのフォロー
  • 会場での声援 → オンラインでのコメントや投げ銭
  • スクラップ帳 → デジタルアーカイブ

やっていることは同じでも、形がデジタル化・即時化されたことで、「推し活」はより身近で、日常的になりました。

50年前にネットがあったら、私たちもやっていた

考えてみれば、もし昭和の時代にYouTubeやX(旧Twitter)、サブスクがあったら──。 きっと私たちも、夜な夜な推しの動画を見て、フォロワー同士で語り合い、グッズをネットで集めていたはずです。

つまり、現代の推し活は目新しいようでいて、本質はまったく変わっていない。「好きなものを応援したい」「もっと知りたい」「共感を誰かと分かち合いたい」──それは人間にとってごく自然な感情なのです。

今こそ、“自分流の推し活”を楽しんでみる

誰かに見せびらかす必要はありません。大きな声で叫ぶ必要もない。 静かに、「ああ、これ好きだな」と思える時間こそが、シニアにとっての推し活かもしれません。

たとえば昔の音楽をプレイリストにして毎日聴く。懐かしい俳優の映画を見返す。地方のご当地キャラを応援する──そんな“小さな推し”が、日々の暮らしを彩ってくれるのです。

年齢は関係ない、“好き”があることが財産

「推し活は若者のもの」──そんな風に思う必要はありません。 昔からずっとやっていたことに、名前がついただけ。それが“推し活”です。

もし少しでも「これ、いいな」「また見たいな」と思えるものがあるなら、それはあなたの“推し”かもしれません。年齢を理由にあきらめず、自分なりの距離感で、“好き”を楽しんでいきましょう。

なにより、“好きなものがある”ということは、心にとっての栄養です。 趣味がない、何も楽しみがない──そう感じることがあれば、まずは昔の自分を思い出してみてください。 あのころ夢中だった何か、誰か。その気持ちは、きっと今も心の奥に残っています。

推し活は、なにも派手でなくていい。静かで、自分だけの楽しみでいいんです。 シニア世代だからこそ、落ち着いた視点で“推し”を味わえる。今からでも、もう一度はじめてみませんか?

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