「空き家になった実家」や「相続後にそのまま放置している家」──こうした物件は、2025年の制度改正によって特定空き家として罰金や税金増額の対象となる恐れがあります。この記事では、特定空き家の判定基準や2025年改正のポイント、罰則や税金の仕組み、さらに放置を避けるための管理・活用方法について詳しく解説します。
※本記事で「2025年改正」としているのは、2023年12月13日に施行された改正法のうち、2025年度から本格的に適用される内容を指します。
特定空き家とは何か(判定基準)
「特定空き家」とは、空き家対策特別措置法に基づき、市町村が次のような状態と判断した空き家を指します。
- 倒壊や崩壊の危険がある
- 著しく衛生上有害な状態(ゴミの放置、悪臭など)
- 景観を著しく損なっている
- 周辺の生活環境に悪影響を及ぼしている
これらは現地調査や近隣からの通報をもとに判断され、「助言・指導 → 勧告 → 命令」という段階を経て特定空き家に指定されます。
2025年の改正ポイント
2025年の空き家対策特別措置法 改正では、以下の点が強化されます。
- 勧告までの期間短縮:従来より早く特定空き家に指定される可能性
- 罰則の明確化:命令違反に対する過料(罰金相当)が具体的金額で規定
- 税制ペナルティの強化:固定資産税の軽減措置(住宅用地特例)を即時解除
特に「改善命令」に従わない場合、罰金や行政代執行の対象となり、費用は所有者負担です。
罰金・固定資産税増額の仕組み
2025年改正後は、命令違反に対して50万円以下の過料が科されます。これは刑事罰ではなく行政罰ですが、納付しなければ財産差押えの可能性があります。
さらに、住宅用地特例(固定資産税が最大1/6に軽減される制度)が解除されるため、翌年度の課税から税額が最大で約6倍になる場合があります(都市計画税は最大3倍)。例えば固定資産税が年間5万円の土地なら、特例解除後は翌年度から約30万円になる計算です。
特定空き家にしないための管理方法
特定空き家の条件に当てはまらないようにするには、日頃からの定期的な管理が欠かせません。
- 年1〜2回は現地を確認し、屋根や外壁、基礎の破損をチェック
- 庭木の剪定や雑草除去で景観と衛生を維持
- ポストの整理・外観の清掃で「管理されている印象」を与える
- 必要に応じて地元の管理業者に委託
特に遠方に住んでいる場合は、放置リスクが高まるため、委託管理が現実的な選択です。
売却・活用の選択肢
「使わない家を維持し続ける」ことは、今後ますますコストやリスクを伴います。選択肢としては以下があります。
- 売却:不動産会社や空き家専門の買取業者を利用
- 賃貸活用:リフォームして賃貸住宅や民泊に転用
- 地域活用:自治体やNPOに貸し出して地域施設化
- 更地化:解体後に売却または駐車場・資材置き場として利用
2025年の法改正後は、放置によるペナルティが重くなるため、早めの判断が重要です。
まとめ
2025年の空き家対策特別措置法改正により、特定空き家による罰金や固定資産税増額のリスクが現実化します。「まだ大丈夫」と思って放置すると、固定資産税の急増や罰則による経済的負担に直面する可能性があります。定期管理や活用・売却の検討を早めに始めることが、空き家問題から身を守る第一歩です。
関連記事もあわせてご覧ください
コメント