前回は燃焼の仕組みを学びました。今回は乙4試験の物理・化学分野で必ず登場する「引火点・発火点・爆発範囲」について解説します。数値が中心となりますが、仕組みを理解しておくと暗記が楽になります。
引火点とは
引火点とは「液体が蒸発してできた可燃性蒸気に火を近づけたとき、燃え始める最低温度」のことです。つまり、液体自体が燃えるのではなく、表面から出る蒸気に火がつく温度を指します。
ガソリンの引火点は-40℃前後と非常に低いため、常温でも危険。灯油は40℃前後、軽油は50℃前後で、ガソリンに比べて引火しにくい性質を持っています。試験では「ガソリンは常温で危険」という特徴を押さえることが重要です。
発火点とは
発火点とは「火を近づけなくても、物質自体が自然に燃え始める温度」です。つまり、点火源がなくても温度が十分に高まれば自然に火がつきます。
ガソリンの発火点は300℃前後、灯油は220℃前後、木材は250℃前後です。引火点と違い、物質ごとの発火点は「比較的高い温度」である点を理解しておきましょう。
爆発範囲とは
爆発範囲とは「空気中の可燃性蒸気の濃度が、爆発的に燃焼する濃度範囲」のことです。この範囲はさらに「爆発下限界(LEL)」「爆発上限界(UEL)」に分かれます。
- 爆発下限界(LEL):燃料濃度がこれ未満では薄すぎて爆発しない。
- 爆発上限界(UEL):燃料濃度がこれを超えると濃すぎて爆発しない。
ガソリン蒸気の爆発範囲は1.4〜7.6%。つまり、空気中に少し混じっただけで爆発危険性があります。一方で灯油や軽油は爆発範囲が狭く、相対的に危険性は低いとされます。
試験での出題ポイント
- 「引火点はガソリンが極端に低い(常温で危険)」
- 「発火点はどの物質も200〜300℃以上と比較的高い」
- 「爆発範囲は下限界と上限界があり、ガソリンは広く危険性が高い」
試験では「数値そのもの」よりも「危険度の違い」を問う問題が多いです。ガソリンは引火点が低く、爆発範囲も広い──これを覚えておけば十分です。
高齢者におすすめの覚え方
数字を丸暗記するのは大変なので、「ガソリンは常温で危ない」「灯油は比較的安全」「発火点はどれも200℃以上」と大まかに理解すると覚えやすいです。模擬問題を解くときも「危険度の順番」で整理すると得点につながります。
今日のまとめ
- 引火点=蒸気に火がつく最低温度。ガソリンは-40℃で常温でも危険。
- 発火点=火を近づけなくても自然に燃える温度。200℃以上が目安。
- 爆発範囲=空気中の蒸気濃度で爆発が起きる範囲。下限界と上限界があり、ガソリンは広く危険。
- 試験では「ガソリンは特に危険」という比較を押さえることが大切。
次回予告
次回は「第4類危険物の代表例(ガソリン・灯油・軽油など)」を取り上げます。実際の物質ごとの特徴を整理し、試験で問われる要点を学びましょう。
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