定年後、何をして過ごしていますか? ただ時間をつぶすのではなく、自分の趣味や人とのつながりを生かして「小さな場所」をつくる──。 それが今注目されている趣味カフェというスタイルです。
特別な資格もいらず、許可もいらない場合が多く、高齢者にも向いていると話題になっています。
■ 趣味カフェとは?
「趣味カフェ」とは、カフェといっても本格的な飲食店ではありません。
共通の趣味や関心を持った人たちが集まる、小さな集会スペースのようなものです。
たとえば──
- 編み物や手芸ができる手仕事カフェ
- 囲碁や将棋を楽しむ隠れ家的スペース
- 昭和歌謡を流して語り合うレトロ喫茶風サロン
- 読書や古地図を広げて語り合う文庫カフェ
こうした空間では、コーヒーやお茶は提供せず、各自持参にすることで、飲食営業許可が不要になります。
■ なぜ高齢者に向いているのか
趣味カフェは、以下のような理由から高齢者にも向いています。
- 自分の得意なことを活かせる
- 体力的な負担が少ない
- 週に1回でも十分
- 人とのつながりが生まれる
いわば、「お金を稼ぐ」というより「生きがいを持つ」ための副業といえます。
■ 趣味カフェ開業マニュアル
では、実際に趣味カフェを始めるにはどうすればよいのでしょうか。
1. スペースを確保する
自宅の空き部屋、古民家、ガレージなど、小さくても構いません。 ただし、ある程度人が出入りしやすい場所(1階・玄関近く)が好まれます。
2. コンセプトを決める
「何をするカフェなのか」を明確にします。
例:将棋サロン/編み物カフェ/雑誌を読むだけの静かな部屋 etc.
3. 設備・道具の準備
机とイスがあれば最低限OK。 テーマに応じて将棋盤、毛糸、雑誌などを置いておきましょう。 「持ち込み歓迎」としてもよいでしょう。
4. 運営スタイルを決める
もっとも無理がないのは参加費制(例:1人500円)。 飲食提供はせず「お茶などは持参で」とすれば、保健所の許可も不要です。
5. 告知と集客
- スーパーや公民館の掲示板(許可が必要)
- 町内会・地域の口コミ
- 手作りチラシをポスティング
特に高齢者向けなら、紙での告知が効果的です。
■ 収支試算(簡易版)
モデルケース:
- 週1回開催(3時間)
- 参加者:5人
- 参加費:500円
月間収入(4週)
- 500円 × 5人 × 4回 = 10,000円
月間支出(概算)
- 電気・水道代:1,500円
- チラシ・印刷代:1,000円
- 消耗品(紙コップ・ティッシュなど):1,000円
- 合計支出:3,500円
利益
- 10,000円 - 3,500円 = 6,500円の黒字
大儲けではありませんが、趣味+人との交流+生活費の一部がまかなえる、理想的な形です。
■ 注意点
- 音・車の出入りなど、近隣トラブルに注意
- 政治・宗教・健康の話題はできるだけ避ける
- 感染症対策(消毒・換気)は最低限でも実施
「来てよかった」「また来たい」と思ってもらえる空間を意識しましょう。
■ 実例紹介(徳島県・非公開個人)
徳島県内でひっそりと開かれている「手仕事カフェ」は、元和裁士の女性が週に1回、自宅の和室を開放しているスペースです。
参加費はワンコイン。縫い物や編み物を持ち寄って、たわいもない話をしながら過ごす時間が「一番の健康法」と話されていました。
「売上はお茶代と電気代で消えるけど、気力はたまる」と笑っていたのが印象的でした。
■ 趣味が、人をつなぐ
大きな店を持たなくてもいい。利益がなくてもいい。 人とつながるための小さな拠点が、これからの時代に求められているのかもしれません。
趣味を人と共有することは、あなたの人生にもうひとつの意味を与えてくれます。
ささやかでも、「好き」と「誰か」が交わる場所を、つくってみませんか?
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