年齢不問のからくり

行政書士

求人に年齢制限がない理由

中高年と青年の違いは、年齢です。あたりまえですね。年齢なんですが、ハローワークなどの求人を見ても、年齢制限があまり書かれていません。年齢不問というのがほとんどです。 

後から出てきますが、法律によって年齢制限を設けることが禁止されているのです。ハローワークの求人には年齢制限の理由という項目があって、法的に許される根拠があれば、年齢制限を設けることができる仕組みになっています。 

ハローワーク求人欄のリンク先に下記のpdfがありました。 

企業が従業員を雇用する際、企業には採用の自由が法律により認められています。基本に採用の自由があって、その上に年齢制限を設けてはいけない等というものが乗っかっているのです。 

これがいわゆる特別法というものです。ベースにあるのが一般法でその一部を制限するのが特別法です。法的には特別法が優先されます。 

企業の採用の自由を制限する特別法は以下のようなものです。 

  • 雇用対策法第10条
  • 男女雇用機会均等法第5条
  • 障害者雇用促進法第5条
  • 労働組合法第7条1項

企業の採用の自由を無制限に認めてしまうと、上記によって守られている範囲の人の就業が困難になり、人たるに値する生活が営めなくなるのはわかると思います。生存権というものです。 

ハローワークの求人などで年齢不問と記載されているからといって、年齢で選考からハネられることはないかというとそんなことはありません。法律のほうも、就業の機会を年齢だけで奪ってはいけないと記載されているだけで、年齢無制限で雇用せよという趣旨ではないのです。年齢関係なく面接してみて、その人の能力を判断したうえで、採用するか否かの判断をして欲しいということなのです。 

上のpdfの最終項目を見ても、書類選考だけで採用から排除しないようにと記載されています。書類選考で落とされる方がいかに多いかわかります。もっとも、これは年齢のことだけとは限りませんが。 

仕事を探している中高年の側から言うと、年齢不問の記載は必ずしもありがたくはありません。年齢不問で雇用の機会が得られる中高年も存在するとは思いますが、キャリアや特別な能力のない、一般的な中高年にとっては、中高年を採用する気持ちのない企業に、履歴書を送ることになるからです。 

面接まで漕ぎ着けたとしても、面接に行ってみれば若者ばかり。中高年は我一人。っていうのは厳しいものがあります(経験あり)

特別法詳細

雇用対策法第10条 

事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、労働者の募集及び採用について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない

これは条文のとおりです。年齢で雇用の機会を奪ってはいけないということです。これを厳密に守っている企業があるとは思えません。最悪、面接までやれば雇用するかしないかは企業の自由ですから。 

前に書いたように面倒な手続きが採用する側、採用される側ともに増えただけのような気がします。例外的に、面接までいって落とすつもりが、掘り出し物の人物だったケースもあるかも知れませんが、特異な例でしょう。 

男女雇用機会均等法第5条 

事業主は、労働者の募集及び採用について、女性に対して男性と均等な機会を与えなければならない

これも条文どおりです。年齢用件が男女用件に変わっただけ。業種によっては優れた女性を採用することの免罪符となり、採用担当が優秀な女性を雇用できる口実ができたとも考えられます。男性より優秀な女性はたくさんいますから。 

障害者雇用促進法第5条

すべて事業主は、障害者の雇用に関し、社会連帯の理念に基づき、障害者である労働者が有為な職業人として自立しようとする努力に対して協力する責務を有するものであつて、その有する能力を正当に評価し、適当な雇用の場を与えるとともに適正な雇用管理を行うことによりその雇用の安定を図るように努めなければならない。

身体に障害があっても、働きたい人は存在します。また、優秀な人もいるでしょう。事業主は、雇用環境を整え、適切な雇用管理の下、障害者に仕事をする場を提供しましょうというような趣旨です。前記の法律とは若干ニュアンスが違いますね。 

労働組合法第7条1項 

労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。ただし、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。

労働組合に関係するか否かで、差別するなということです。 

つづく~どこに続くのやら

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