【高齢者のための乙4講座 第6回】物理・化学の基礎──燃焼の仕組みを理解する

セルフガソリンスタンドの給油機を斜め横から撮影した写真。危険物取扱者乙4講座のアイキャッチ画像。 おとなの副業と手続き帳

これまでの回では、乙4試験に必要な法律や危険物の種類について学んできました。今回からは「物理・化学」の分野に入り、まずは最も重要なテーマである「燃焼の仕組み」について整理します。燃焼の理解は試験だけでなく、現場で危険を見極めるためにも欠かせません。

燃焼とは何か

燃焼とは「可燃物が酸素と結びつき、熱と光を伴って激しく反応すること」を指します。単に“燃える”という日常的な表現よりも科学的で、化学反応の一つとして位置づけられています。

たとえば、ろうそくが燃えるのは「ろう成分(炭化水素)が空気中の酸素と反応して二酸化炭素と水になり、その過程で熱と光を出す」現象です。これが燃焼の基本です。

燃焼の三要素

燃焼には「燃えるもの」「酸素供給」「点火源」の3つが必要です。これを燃焼の三要素と呼びます。

  • 可燃物(燃えるもの):ガソリン、灯油、木材など
  • 酸素供給源:空気中の酸素、酸化剤
  • 点火源:火花、静電気、摩擦熱、ライターなど

この3つがそろったときに初めて燃焼が起こります。試験でもよく問われる基本知識です。

燃焼が続く条件

燃焼は始まっただけでは続きません。持続するためには「可燃性蒸気が発生している」「酸素が供給されている」「温度が一定以上に保たれている」ことが必要です。さらに、化学的には連鎖反応が継続していることも条件の一つとされています。

例えばガソリンは引火点が非常に低いため、常温でも蒸気を発生させ続け、酸素と結びつきやすい状態を保っています。だからこそ少しの火花でも一気に燃え広がる危険性があります。

燃焼の種類

燃焼にはいくつかの種類があります。

  • 完全燃焼:十分な酸素のもとで二酸化炭素と水だけを生成する(例:ガスコンロの青い炎)
  • 不完全燃焼:酸素不足で一酸化炭素やススを発生する(例:不完全なガス燃焼、赤い炎)
  • 爆発的燃焼:一瞬にして急激に燃え広がる(例:ガス漏れによる爆発)

乙4試験では「完全燃焼と不完全燃焼の違い」「一酸化炭素が有毒である理由」などがよく出題されます。

高齢者に役立つ理解法

燃焼を単なる化学知識としてではなく、「現場の危険」に結びつけると理解しやすくなります。例えば、ストーブの点火不良でススが出るのは不完全燃焼の典型例。ガソリンスタンドで静電気が危険視されるのは点火源になるから。こうした日常の体験と重ねると、記憶に残りやすくなります。

今日のまとめ

  • 燃焼とは酸素との化学反応で、熱と光を伴う現象である。
  • 燃焼の三要素は「可燃物」「酸素供給」「点火源」である。
  • 燃焼が続くには可燃性蒸気・酸素・温度維持・連鎖反応が必要。
  • 完全燃焼・不完全燃焼・爆発的燃焼の違いを理解することが大切。

次回予告

次回は「引火点・発火点・爆発範囲」について解説します。燃焼の危険度を数値で理解し、試験に直結する知識を整理していきましょう。

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